実家が空き家になってもコストはかかる。放置すれば罰則もある。
今や社会問題の空き家。自分自身が空き家を持っている、または近所に空き家がある人も、多いのではないか。空き家問題の事案の多くは、所有者と近隣住民との認識の違いで起こる。
所有者が空き家を管理しているつもりでも、実際には不十分で、近隣住民が困ってしまう。近隣住民は、所有者には迷惑をかけて申し訳ないとの気持ちすらない、と思う。所有者は適切に管理したいと承知しているものの、実際にはお金も時間も必要だ。空き家になる理由では、①引っ越し、②相続、③高齢者の介護施設への移動などが挙げられる。高齢者が老人ホームに入所した場合、多くは住んでいた家について「私が生きているうちは売らない」と慎重で、手放すことに同意する人は少ない。結局、老人ホームを退去(死亡)するまで、数年は空き家状態になってしまう。
1人世帯・2人世帯のマンション志向に変化
コロナ禍の住宅ニーズに関する調査結果の多くが、「一戸建て志向の強まり」を指摘している。今回の調査結果では、部屋数や部屋の狭さなど自宅のスペースに不満を感じている人が多いことが分かった。となると、やはり「一戸建て志向」が強まるのだろうか?
コロナ流行前とコロナ禍で、それぞれ「一戸建てとマンションとどちらに住みたいと思うか」を聞いた結果を見てみよう。全体を比較してみると、コロナ流行前よりコロナ禍のほうが、一戸建て派が増えていることが分かる。
○一戸建て派(一戸建て+どちらかといえば一戸建て)VSマンション派(マンション+どちらかといえばマンション)
○コロナ流行前
一戸建て派56%(39%+17%)VS マンション派44%(21%+23%)
○コロナ禍
一戸建て派63%(44%+19%)VS マンション派36%(18%+18%)
これを世帯人数別に集計してみると、実は世帯人数によって、一戸建て派とマンション派の比率が大きく変わっている。これをコロナ流行前とコロナ禍で比較してみると、いずれの世帯人数でもコロナ禍のほうが一戸建て派は増えている。
世帯人数が3人以上では一戸建て派がもともと多いのだが、コロナ禍で一戸建て派の増加割合が大きいのは、むしろ世帯人数1人や2人のほうだ。特に、2人世帯では、コロナ流行前はマンション派が55%と過半数を占めていたが、コロナ禍になると一戸建て派が増えて、マンション派は46%になっている。
一戸建てに住むなら、4割が「間取り・広さ」を重視
さて、この調査では、「一戸建てに住むとしたら、最も何を重視するか」を聞いている。ダントツで最多は「間取り・広さ」(40%)で、次いで「周辺環境」(25%)、「耐震・耐久性」(15%)、「住宅設備」(7%)の順となった。やはり、ここでも「間取り・広さ」への関心が高いことがうかがえる。とはいえ、部屋数が多いとか、使える空間が多いといった理由だけで一戸建てを選んでいいわけではない。
そもそも一戸建てはマンションに比べて独立性が高い。そのため、建物や庭、外構、植栽のメンテナンスを自身で計画的に行う必要がある。一方、マンションは共用部分を管理組合という組織で共同で管理したり、管理組合で定めた生活のルールを守ったりする必要がある。ただし、管理会社に一部を委託することができ、セキュリティの高さなど、共有だからこその充実した設備を利用することもできる。
このように、一戸建てとマンションでは生活の仕方が異なるなどの違いもあるので、こうしたことも意識したうえで、リモートワークやおうち時間の充実を考える必要があるだろう。
コロナ禍で自宅が住みづらいと感じたとき、自宅のスペースの使い方を見直したり、リフォームで間取りを変えようと検討したりした人も多いだろう。それでも広さが不足していたり、通信環境や音の問題を解消できなかったりする場合は、住み替えを考えることになる。その場合も、10年後15年後など長期的な視点に立って、自分の暮らし方をどう変えたいかよく考えるのがよいだろう。
<参照> SUUMO ジャーナル